４４歳食品加工会社のパートです。１０年ほど前、実家の階段でムカデを発見しました。１匹ですが、大きさは１０センチほど。そんな大きなムカデを見たのは生まれてはじめてで、思わず固まってしまいました。深夜１時頃だったので両親を起こそうか、でもこんなことで次の日に仕事がある両親を起こすなんてかわいそうだと葛藤しながらしばらく見つめていました。
ともかくこれは放っては置けないのでとりあえず殺虫剤を探しました。でも探すことができなかったのでガムテープで貼り付けて捕まえようと決めました。壁に体をくっつけて九の字に曲げてじっとしていたので、どうやったらうまくくっつくか私も体を右へ左へ曲げながらムカデに対して挑みました。
ムカデ自身は動いていなかったので貼りつけることは可能だとは思いましたが、攻撃された衝撃で変にうねってこちらに向かって来られても困りますし、素手では絶対に触りたくありません。何より逃げられてどこかに行かれたらもう寝ることもできなくなります。
なんとか一発で仕留めたい。でも角度がうまくいかない、と空中で試すこと数十分。ムカデはその間ピクリとも動きませんでした。ガムテープを長めに取って何枚かをくっつけて幅も広めにしました。それをムカデにゆっくりと近付けましたがどうにもピッタリ張り付けるまでの決断ができない。
躊躇するほどそのムカデは大きかったんです。ちょっと休みたい気分になりましたが戻ってきてムカデがいなくなっているのが怖いのでその場から離れることもできませんでした。これは実行するしか方法はないと、意を決してガムテープを近付けました。
ついに百足をガムテープで
そしてとうとう壁にぺったりと押し付けました。ムカデの部分がポッコリと膨らみガムテープ越しですがなんとなくムカデの感触をこの手に受けました。非常に気持ち悪いです。なんとなく動いているような気もしますが知らないフリをしました。そしてふと、この後の問題に気付きました。
くっつけたはいいが、これをはがさないといけない。はがしたときにムカデはちゃんとガムテープにくっついていてくれるだろうか。もしはがしたと同時に下に落ちて走り去ってしまったら。そんな状況が思い浮かびました。
ムカデは少し丸みを帯びています。これはきちんとくっついてくれているだろうか。型を取るように少し押してみました。悩んでいても終わらないと、いつかはこの手で終わらせなければいけないんだと再び決心をして少しずつガムテープをはがしていきました。
大きめに作ったガムテープが憎らしいです。ようやっとムカデの部分に差し掛かり、緊張の一瞬です。ゆっくりはがすと足が見えました。動いているようですが気にしません。こちら側に見えないようにはがしていきました。そして半分くらいまではがれたところ、ガムテープの両側を互いにくっつけてムカデを包み込みました。ムカデはおとなしくガムテープの中に納まったままです。
これでもう安心と残りのテープをはがし、同じように端をくっつけて最後は丸めるようにまとめました。その後はティッシュで何重にも包み、ビニール袋にも入れてがっちり結んで捨てました。その時の安堵の気持ちは言い表せないほどです。時計を見るとすでに２時近く。でもこれでゆっくり眠れる。私はそう思って眠りにつきました。疲れました。
